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透明なゆりかごを読んでわかる産婦人科の実情。作者沖田×華の想いとは?

透明なゆりかごという漫画が話題となっています。

 

 

 

漫画というと、気軽に読むことができるというイメージがありますが、この透明なゆりかご場合には、それは当てはまらないかもしれません。透明なゆりかごを軽い気持ちで読んでしまうと、衝撃を受けるような内容ばかりなのです。

 

しかしその内容の重さに対して、軽い感じの絵が、またなんともいえない独特の雰囲気を生み出しているのでしょう。

 

このような重い内容の場合には、気軽に読むことができそう、と思わせるくらいのタッチの絵の方が良いのかもしれません。絵までリアルすぎたら、本当に受けとめきれなくなってしまうかも、そんな印象をうける漫画といえました。

 

 

どんな軽さの絵柄なのかは、サンプルを見るとわかります。

 

 

透明なゆりかごってどんな漫画?

主人公は、産婦人科でアルバイトをすることになった、まだ若い女性です。学生のアルバイト的な感覚で、この仕事をはじめたものの、あまりにも衝撃的な現場に遭遇したり、辛い仕事を任されることにもなって、しだいに命について、真剣に向き合うようになる、というものです。

 

 

しかし、この透明なゆりかごでは、主人公の成長を中心に描いているわけではありません。

 

 

おそらく、作者沖田×華の重要としているのは、一般には知られていないような現実を、少しでも多くの人に知ってもらうことで、このような悲劇が減るのを望んでいるのです。

 

 

産婦人科というと、大きなお腹を抱えた、つわりで苦しみながらも、新しい命の誕生を心待ちにしている妊婦さんや、それを温かくサポートしてくれる看護婦さんなどの姿をイメージする人も多いでしょう。

 

しかしそれだけではなく、実際には、子供を欲しいと願っても、なかなか恵まれず、他の妊婦さんに混じって、待合室で診察を待たなくてはならない女性も多くいるのです。つまり妊娠治療を行っている女性です。

 

 

こうした思いは、意外と身近に体験している人が多く、その他の病気の場合にも、いつ自分の身に起こってもおかしくない事柄ともいえます。そのような、幸せな事柄だけではないという思い以上に、透明なゆりかごでは、さらに辛い実情が淡々と描かれていきます。

 

この、淡々と、という点が、この透明なゆりかごという作品の最大の特長ともいえるでしょう。現実として、このような事実があった、しかし、そのことについて、必要以上の感情は描かれていません。

 

それは、産婦人科で出会う人というのが、その場限りの縁であるということにもよるでしょう。その人のこれまで歩んできた人生について、産婦人科のスタッフは知るすべもありません。

 

 

また、容易に想像できるはずもないのです。

 

 

ですから、この作品では、必要以上に主人公の感情が暴走するようなことはないのです。しかし、それでも、訴えずにはいられないような現実に直面した時には、ささやかではありますが、主人公の切ない思いが感じられる場面が登場します。

 

第三者からは、当事者に対して、何も分からないし、たいしたことができないという現実が分かっていたとしても、読む側にとっても、心を揺さぶられるような衝撃を受けてしまうでしょう。

 

 

 

 

 

透明なゆりかご ネタバレ

真の死因1位について衝撃を受ける

この作品では、人間の死因の本当の一位は何か、という点についても取り上げられています。

 

主人公がアルバイトをすることになった産婦人科で、まず医師から質問された内容です。この答えこそが、産婦人科の分娩以外の大きな役割であるかもしれないのですが、そこに現代が抱えているを見るような印象を受けます。

 

 

現代は、インターネットが普及して、実在の人間と触れ合わなくても、物事が成り立ってしまうような時代です。また、ゲームもどんどんリアリティを追求し過ぎて、そのようなリアルなゲームで育った人間が、生身の人間の命の大切さについて、本当に理解することができるのだろうか、という危惧すら感じてしまいます。

 

 

命の重大性を理解しないまま、大人になり、また、大人になりきれていないのに、人の親になってしまったとしたら、無責任な判断をすることにもつながってしまうのです。しかし、生まれてきた命には、何の罪もありません。

 

 

少なくとも、お腹の中にいる頃には、母体の温かい体温に守られて、すくすくと成長しているのです。それを、実際の社会に生まれてきたとたんに、全てを失ってしまうことになる悲劇があまりに多い事実に、作者は憤りを感じ、せめて多くの人に、そのような誰にも知られることのなかった命があるのだという現実を訴えたかったのでしょう。

 

 

透明なゆりかごが気軽に読める現代の功罪

このように、重い内容の作品も、今では気軽にスマートフォンなどの携帯端末から読むことができる時代になりました。

 

便利になったために、実在する人とのつきあいが薄れてしまうという現実がある反面、もし、書店に売っていた作品であれば、わざわざ買ってまで見なかっただろうという人の目にも、このような内容の作品が触れる機会が増えたということは、皮肉にも感じられるものです。

 

しかし、インターネットなどの普及によって起こる問題を考えると同時に、せっかく便利なツールを手に入れた我々は、積極的に人とのつながりや命の大切さについて、発信していく必要があるはずです。